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上記のランキングで1位になるなど非常に注目度の高い「中小企業診断士」の資格。
キャリアアップや将来に備えるために資格の取得を考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、難関国家資格ともいわれる中小企業診断士の合格率は何%で難易度はどれくらいなんでしょうか。
その他の難関資格や大学入試と比較して解説していきます。
中小企業診断士とは
まずは簡単に中小企業診断士について紹介します。
中小企業診断士は中小企業の課題に対応するための診断やコンサルティングを行うための専門家です。
コンサルティングは資格がなくてもできる仕事ですが、中小企業診断士は経営コンサルタントのプロと認められた唯一の国家資格であり、お客様から信頼を得やすいメリットがあります。
中小企業診断士の資格取得後は独立する方や所属している企業にそのまま残る企業内診断士がいます。
企業内診断士として企業に勤めながら少しずつ副業で種を蒔いて満を持して独立する人も少なくないですよ!
中小企業診断士の合格率
中小企業診断士の試験に合格するルートはいくつかありますが、王道のルートは
一次試験 → 二次試験(筆記試験) → 二次試験(口述試験)
です。
合計3回の試験に受かってようやく中小企業診断士になれる権利を得ることができます。
(ここで権利と書きましたが、二次試験に受かってもまだ"中小企業診断士"ではありません。ここから実務補習等を経て初めて中小企業診断士と名乗ることができます。)
合格率はこの後詳しく説明しますが、ざっくりいうと
合格率:一次試験(20~30%) × 二次試験(20%) = 4~6%
です。
それではそれぞれの難易度や合格率について解説していきます。
実は二次試験を受けずとも中小企業診断士になれる方法があります。
詳しくは以下からご確認ください。
ちなみに中小企業診断士の受験資格に「大卒以上」、「職務経歴〇年以上」といった条件は一切なく誰でも受験可能です。
一次試験の合格率
一次試験は7科目あり、すべてマークシート方式の試験です。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・政策
上記の試験科目のうち、財務・会計、企業経営理論、運営管理は二次試験(筆記試験)と大きく関わってきます。
一次試験の合格基準は次のようになっています。
【合格基準】
① 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
② 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
簡単にいうと、『1科目でも40点未満があるとダメだよ、それに加えて7科目で420点取れば合格だよ。』ということです。
得意科目を作ることも大切ですが、苦手科目を作らないことがもっと大切です。
では、各年度ごとの受験者数と合格率の表は以下になります。
一次試験合格率
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和3年度 | 16,057 | 5,839 | 36.4% |
令和2年度 | 11,785 | 5,005 | 42.5% |
令和元年度 | 14,691 | 4,444 | 30.2% |
平成30年度 | 13,773 | 3,236 | 23.5% |
平成29年度 | 14,343 | 3,106 | 21.7% |
平成28年度 | 13,605 | 2,404 | 17.7% |
平成27年度 | 13,186 | 3,426 | 26.0% |
合格率はここ数年は30%を超えていますが、平成の時代には20%前後で推移していました。
令和3年度には受験生数も15,000人を超えて、かつ、合格率も上がっているので中小企業診断士の絶対数は増えてきています。
中小企業経営・政策でも勉強しますが、日本の中小企業は多くの課題を抱えています。中小企業診断士の数を増やして、日本の中小企業を支えていこうとしてるのではないかとここ数年の合格率の高さから感じています。
また、一次試験には科目合格制度というものがあり、翌年度と翌々年度の一次試験を受験する際に当該科目を免除することができます。
② 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
この科目合格制度を使って複数年で合格を目指す人も少なくないです。
では、各科目の合格率はどれくらいなのでしょうか。
以下のグラフをご覧ください。
一次試験科目別合格率
グラフを見ると経済学・経済政策は比較的高い合格率で安定しており、経営法務は毎年合格率が低いことが分かります。
その他にも企業経営理論は変動が激しいことも分かります。
各科目について詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
財務・会計の難易度と勉強法
企業経営理論の難易度と勉強法
運営管理の難易度と勉強法
経営法務の難易度と勉強法
経営情報システムの難易度と勉強法
中小企業経営・政策の難易度と勉強法
二次試験(筆記試験)の合格率
一次試験に見事合格したら次は二次試験(筆記試験)です。
二次試験(筆記試験)はすべて記述式の試験になっていて、試験科目は合計4つです。
- 事例Ⅰ(組織・人事)
- 事例Ⅱ(マーケティング・流通)
- 事例Ⅲ(生産・技術)
- 事例Ⅳ(財務・会計)
その中でも事例Ⅳの出来が合否を決めると言われるくらい重要であり、事例Ⅳを関しては一次試験期間中から少しずつ対策しておくことをおすすめしています。
事例Ⅳは一次試験の財務・会計の延長線上にあるので事例Ⅳの勉強は財務・会計にとってもプラスになりますよ!
二次試験(筆記試験)合格率
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和3年度 | 8,757 | 1,605 | 18.3% |
令和2年度 | 6,388 | 1,175 | 18.4% |
令和元年度 | 5,954 | 1,091 | 18.3% |
平成30年度 | 4,812 | 906 | 18.8% |
平成29年度 | 4,279 | 830 | 19.4% |
平成28年度 | 4,394 | 842 | 19.2% |
平成27年度 | 4,941 | 944 | 19.1% |
受験生数は先ほどの一次試験受験生数の増加と合格率の上昇により年々増えてきます。
しかし、この二次試験(筆記試験)で最も特徴的なのはその合格率です。
見事に毎年20%弱に収まっています。
公式には発表されていませんが、二次試験(筆記試験)は上位20%が合格する相対評価の試験である可能性が非常に高いです。
つまり、自分が高得点を取っても周りがさらに高得点だと落ちてしまいますし、反対に自分の出来がイマイチでも周りがもっと酷ければ合格できるチャンスがあるということです。
一次試験以上に周りが解ける問題を確実に解くことが重要になってきます!
次に二次試験(筆記試験)の合格基準を見ていきましょう。
【合格基準】
筆記試験における総点数の 60% 以上で、かつ、1科目でも満点の 40% 未満がなく、口述試験における評定が 60% 以上であることを基準とします。
なお、口述試験を受ける資格は、当該年度のみ有効であり、翌年度に持ち越しすることはできません。
考え方としては一次試験と同じです。
『各科目40点以上は取ってね、それに加えて4科目で240点取れば合格だよ。』ということです。
ちなみに一次試験には科目合格制度がありましたが、二次試験には科目合格制度はありませんのでご注意ください。
二次試験(口述試験)の合格率
二次試験(筆記試験)に合格してしまえば、中小企業診断士の試験に合格したようなものです。
下の表を見てください。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和3年度 | 1,605 | 1,600 | 99.7% |
令和2年度 | 1,175 | 1,174 | 99.9% |
令和元年度 | 1,091 | 1,088 | 99.7% |
平成30年度 | 906 | 905 | 99.9% |
平成29年度 | 830 | 828 | 99.8% |
平成28年度 | 842 | 842 | 100% |
平成27年度 | 944 | 944 | 100% |
合格率は平均99%超で100%の年度もあります。
合格するのが当たり前で落ちるのが難しいくらいの試験です。
とはいえ受かって当たり前と言われると逆に落ちたらどうしようというプレッシャーが凄かったです。
二次試験(口述試験)の試験内容は、その年度の二次試験(筆記試験)の事例の中から2つピックアップされ、それぞれに対して試験官から2つ程度質問されます。
質問内容に対して適切な回答をしていく試験です。
僕の場合は事例Ⅲと事例Ⅳから質問がされました。途中、回答に窮することもありましたがなんとか黙らずに喋ることができました。
ここまで合格率が高いと口述試験に落ちるのはどんな人?と気になりますよね。
実際に落ちたことがある方のブログがありましたのでご紹介します。
紹介したブログにもあるように試験中は『黙らない』ことがとても重要のようですね。
中小企業診断士の難易度
難関国家資格と言われる中小企業診断士の難易度はどれくらいなのでしょうか。
中小企業診断士の試験には3つの試験がありますが、その中の序列は、
二次試験(筆記試験)> 一次試験 >>>>>> 二次試験(口述試験)
です。
二次試験(筆記試験)は一番難しく、二次試験(口述試験)は超簡単です。
それではそれぞれ具体的に見ていきましょう。
一次試験の難易度
難易度:普通〜難
一次試験は7科目あり、なおかつその人の経歴や現在の職種によっても難易度は変わってきます。
例えば、学生時代に経済学を専攻してきた方は経済学・経済政策は易しく感じるかもしれませんし、現在IT関連の業務をされている方にとっては経営情報システムはサービス科目かもしれません。
ただ、7科目全体を通して言えることは勉強した分だけ点数が上がっていくこと。
大学受験で表すとセンター試験の勉強をしているような感覚でした。
コツコツと勉強を積み重ねていけば合格は自ずと近づいてきます!
各科目ごとの難易度については以下の記事に書いていますので参考にしてみてください。
二次試験(筆記試験)の難易度
難易度:難
中小企業診断士の試験で最も難しいのが二次試験(筆記試験)です。
記述式でもあるこの試験で難易度を高めている要因の一つが、模範解答が公開されていないということです。
正しい解答が分からないということは、間違った方向性で理解してしまうと永遠に二次試験に合格することができません。
そこに「ふぞろい」というテキストが大活躍します!
二次試験(口述試験)の難易度
難易度:超易
二次試験(筆記試験)とは対称に二次試験(口述試験)は非常に易しいです。
合格率が100%になる年度もあるくらいですので、二次試験(筆記試験)を突破した方にとっては恐れる必要はありません。
他の難関資格と難易度を比較
難易度 | 資格名 |
SS | 司法試験、公認会計士、国家公務員 総合職、医師 |
S | 司法書士、弁理士、ITストラテジスト、税理士、不動産鑑定士、中小企業診断士(二次筆記試験) |
A | 宅地建物取引士、行政書士、社会保険労務士、総合旅行業務取扱管理者、中小企業診断士(一次試験) |
B | FP2級、簿記2級、販売士1級 |
二次試験(筆記試験)の難易度はSランクであり、他の難関資格同様、非常に難しいです。
記述式の試験であり、模範解答も公表されてないことが難易度を高めている要因となっています。
一方、一次試験は少し難易度が下がってAランクです。
7科目ありますので勉強時間は他の資格より多くなってしまいますが、勉強量に応じて点数はあがっていきます。
難易度が高い資格には受験資格があるものも多いですが、中小企業診断士には受験資格がありません。年齢やキャリアに関係なく、様々な人にチャンスがある資格です。
なお、中小企業診断士にはダブルライセンス、トリプルライセンスの方が多くいて、FPや行政書士の資格はとても人気です。
大学入試の偏差値で比較
難易度 | 資格名 |
70~ | 東京大学、京都大学、大阪大学、早稲田大学、慶應義塾大学 |
65~69 | 東北大学、名古屋大学、東京工業大学、一橋大学、上智大学、東京理科大学、中小企業診断士 |
60~64 | 筑波大学、千葉大学、明治大学、東京理科大学、同志社大学、立命館大学、中小企業診断士(二次筆記試験) |
~59 | 日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学、京都産業大学、近畿大学、中小企業診断士(一次試験) |
中小企業診断士の試験合格率は、一次試験の合格率約30%と二次試験の合格率約19%をかけわせると約6%です。
合格率から算出すると、中小企業診断士の偏差値は67になります。
東京大学ほど偏差値は高くないですが、東北大学や名古屋大学等の旧帝大並みの偏差値です。
試験別に詳しく見ると、二次試験(筆記試験)の偏差値は60、一次試験の偏差値は55です。
二次試験(筆記試験)はMARCHレベル、年々合格率があがっている一次試験は日東駒専レベルとなります。
まとめ:合格者数は年々増加中
中小企業診断士は経営コンサルタントのプロと認められた唯一の国家資格であり、受験者数は15,000人を超えました。
一次試験の合格率は令和になってからは30%を超えており、これまでより高い傾向を示しています。
一方、二次試験(筆記試験)は毎年20%弱で推移しており、公式発表はありませんが相対評価の試験だと考えることができます。
受験者数も年々増加し、一次試験での合格率も近年高いことから合格者数は年々増加して生きています。
中小企業診断士の難易度は
二次試験(筆記試験)> 一次試験 >>>>>> 二次試験(口述試験)
です。
二次試験(筆記試験)は記述式の試験であり、また模範解答が公開されていないことも難易度をあげる要因になっています。
一次試験は7科目あるので、ある程度の勉強時間の確保が必要ですが勉強量に応じて点数があがっていく感覚です。
中小企業診断士の偏差値は67であり、大学入試で表すと東北大学や名古屋大学等の旧帝大レベルの難しさになります。
他の難関資格と比較しても、司法書士やITストラジテスト等の同等レベルになります。
難関資格である中小企業診断士の試験ですが、合格した時の高揚感や満足感は非常に大きいです。
勉強を積み重ねて是非合格を勝ち取りましょう!
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