「中小企業診断士の口述試験って、まだあるの?どんな対策が必要?」
そんな疑問を持ってこの記事にたどり着いた方に、まず結論からお伝えします。
中小企業診断士の口述試験は、令和8年度(2026年度)から廃止されました。
令和8年度以降は、二次試験(筆記試験)に合格すれば、そのまま最終合格となります。
この記事では、口述試験が廃止された理由と二次試験への影響を解説したうえで、参考として「かつての口述試験がどんな試験だったのか」を、独学ストレート合格した筆者の体験談とあわせて紹介します。
【結論】令和8年度から口述試験は廃止された
冒頭でお伝えしたとおり、中小企業診断士の二次試験のうち口述試験は令和8年度(2026年度)から廃止されました。
これは2025年6月25日に公布された試験制度の改正によるもので、2026年4月1日から施行されています。
実際に口述試験が行われた最後の年度は令和7年度(2026年1月実施分)で、令和8年度以降の受験者が口述試験を受けることはありません。
【令和8年度からの主な変更点】
二次試験(筆記試験)に合格した時点で最終合格となります(口述試験なし)。あわせて受験手数料も改定され、二次試験は17,800円から15,100円に引き下げられました(一次試験は14,500円→17,200円。一次・二次の合計額は維持されています)。
口述試験が廃止された3つの理由
「なぜ廃止されたの?」と気になる方のために、中小企業庁が公表している主な理由を3つに整理して紹介します。
理由①:ほぼ全員が合格し、選抜試験として機能していなかった
口述試験は、過去10年間で不合格になった受験者がわずか3名(合格率99.98%)という試験でした。
これほど合格率が高いと、受験者を選抜する試験としての実効性は乏しい、と判断されたわけです。
理由②:試験の運営コストがかさんでいた
面接官の人件費や会場費といった経費が年々高騰し、試験を運営する日本中小企業診断士協会連合会の財政を圧迫していました。
ほぼ全員が合格する試験に、大きなコストをかけ続ける意義が問われた形です。
理由③:助言スキルは実務補習などで担保できる
中小企業診断士として登録するには、二次試験合格後に実務補習の受講、または中小企業への診断・助言業務への従事が必要です。
面接(口述)でわざわざ助言スキルを確認しなくても、その後の実務補習などで十分に担保できる、という考え方です。

つまり「口述試験をやらなくても、実務補習でカバーできるよね」ということですね。
口述廃止で二次試験(筆記)はどう変わる?
口述試験の廃止で、これから受験する人にとって実質的に変わるのは次の2点です。
最終合格までのステップが1つ減る
これまでは「筆記試験 → 口述試験」の2段階でしたが、令和8年度以降は筆記試験に合格すれば、そのまま最終合格です。
筆記合格発表後に口述試験のためもう一度会場へ足を運ぶ必要がなくなり、スケジュール面・費用面の負担は軽くなります。
「筆記が難しくなるのでは?」という不安について
「最終関門だった口述がなくなる分、筆記が難化するのでは?」と心配する声もあります。
しかし、口述試験はもともとほぼ全員が合格する試験であり、合否を実質的に決めていたのは筆記試験でした。
つまり合否のハードルの本質は、これまでと変わりません。過度に不安になる必要はないでしょう。

対策すべきは、これまでどおり最大の関門である二次「筆記」試験です。
【参考】かつての口述試験はどんな試験だったか
ここからは、口述試験が実施されていた当時、実際に受験した筆者の体験をもとに「どんな試験だったのか」を紹介します。これから受験する方には直接関係ありませんが、制度の背景を知る参考としてご覧ください。
試験の内容(10分・面接官2名・4問)
口述試験は、筆記試験の合格発表から約1週間後に行われていました。
試験時間は10分程度で、受験生1人に対し面接官が2名。面接官1名から2問、2名で合計4問質問され、それに対して中小企業診断士として回答する面接形式の試験でした。

口述試験の初めに「名前と生年月日を和暦で述べてください。」と言われました。わざわざ和暦と言われるので、昭和●●年 or 平成●●年と答えます。本番で『あれ?和暦ってどっちだっけ?』とならないよう、こういう小ネタも地味に大事でした。
出題内容は、筆記試験の事例から出されました。
僕の場合は事例Ⅲから2問、事例Ⅳから2問出題されました。基本的には一つの事例から2問ずつですが、たまに全事例から1問ずつ出題されることもあったようです。
合格率(令和7年度が最後)
口述試験の合格率は、実施最後となった令和7年度まで一貫して99%以上でした。実際の受験者数・合格者数は以下のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 令和7年度 | 1,241 | 1,240 | 99.9% |
| 令和3年度 | 1,605 | 1,600 | 99.7% |
| 令和2年度 | 1,175 | 1,174 | 99.9% |
| 令和元年度 | 1,091 | 1,088 | 99.7% |
| 平成30年度 | 906 | 905 | 99.9% |
| 平成29年度 | 830 | 828 | 99.8% |
| 平成28年度 | 842 | 842 | 100% |
| 平成27年度 | 944 | 944 | 100% |
ご覧のように、非常に高い確率で合格できる試験でした。とはいえ「絶対に落ちられない」というプレッシャーは相当なものでした。

僕は都内のR大学で口述試験を受けました。受ければ受かるといわれていたので、絶対に落ちてはいけないというプレッシャーが凄くありました。試験自体もまったく手応えがなかったので、合格発表日までは「もしや落ちたのでは??」という不安にずっと駆られていました。
当時「これをやれば落ちない」と言われた3つの心得
参考までに、口述試験があった当時によく言われていた心得を3つ紹介します。
①当日欠席しない
ほぼ全員が合格する試験なので、最大のリスクはむしろ「欠席」でした。口述試験は例年1月末に実施され、コロナやインフルエンザなど体調を崩しやすい季節。体調管理を徹底し、当日は時間に余裕をもって行動することが何より大切とされていました。

もちろん、当日の遅刻は厳禁ですよ!
②質問に対して黙らない
例年ほぼ100%の合格率でしたが、過去には難しい質問に沈黙してしまい、不合格になったとされる人もいたようです。
たとえば『「デファクトスタンダード」について例を挙げて説明してください』のように、一次試験(経営情報システム)寄りで、二次では出ないだろうと油断していた受験生が戸惑うような質問もありました。

沈黙してしまうと、コミュニケーション能力が著しく低いと思われかねません。逆にいえば、なにかしら喋れば合格できた可能性が高いということです。
実際、僕が事例Ⅳで受けたのは『移動販売事業を止めることで、D社の事業価値に与える影響は何ですか?』という質問でした。
ぱっと自信を持って答えられますか?僕は頭が真っ白になりかけましたが、分からないことは素直に認めつつ、D社の強みや弱みを踏まえて回答しました。

回答の内容が多少おかしくても、黙り込まずに話しきれば合格はできます。
4問すべてを完璧に答えられたわけではありません。それでも合格できたことから、黙らずに何か喋ることが大切だったといえます。
③身なりを整える
あなたが中小企業の社長なら、髪はボサボサ・靴も汚い・ヨレヨレのTシャツの人に、お金を払ってコンサルティングを頼みたいと思うでしょうか。中小企業診断協会としても、そうした人を診断士として認めるわけにはいきません。清潔感のある身だしなみも、地味に重要な要素でした。

服装はスーツが無難でした。僕が受けたときは、一人だけ赤のチェックシャツにジーパンの40〜50代の男性がいましたが、その人以外は全員スーツでしたね。
まとめ:口述試験は廃止、最終関門は二次筆記
中小企業診断士の口述試験は、令和8年度(2026年度)から廃止されました。
令和8年度以降は、二次試験(筆記試験)に合格すれば、そのまま最終合格です。廃止の背景には、①ほぼ全員が合格し選抜機能が乏しかったこと、②運営コストの高騰、③実務補習などで助言スキルを担保できること、がありました。
これから対策すべきは、これまでどおり最大の関門である二次筆記試験です。難易度や合格率、独学と通信講座の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。




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