『中小企業診断士の資格は役に立たない』
『中小企業診断士はなくなる』
中小企業診断士について調べてみるとネットでは上のような言葉が目に飛び込んでくることがあります。
このようなネガティブな表現を見ると資格取得を目指すのを諦めてしまいそうになりますが、本当に中小企業診断士は役に立たない資格なのでしょうか。
結論からお話しすると、中小企業診断士は可能性が無限大のとても魅力ある資格です。
この記事ではなぜ役に立たないと言われるのかなくならない理由について書いていきます。
中小企業診断士は経営コンサルタントの唯一の国家資格
簡単に中小企業診断士について説明します。
中小企業診断士は中小企業の課題に対応するための診断やコンサルティングを行うための専門家です。
経営コンサルタントのプロと認められた唯一の国家資格です。
コンサルタントは資格がなくとも名乗ることができますが、中小企業診断士を持っていればコンサルタントとしての信頼度があがります。
中堅社員に人気沸騰中の資格
中小企業診断士は中堅社員に大人気の資格だということをご存知でしょうか。
2016年1月12日付の日本経済新聞にて、『ビジネスパーソンが新たに取得したい資格ランキング』ではTOEIC® テストや宅建を抑えて、中小企業診断士が1位となりました。
また、2022年1月15日付のNIKKEIプラス1では、『専門家が選ぶ40代からの学び直しに役立つ資格』に中小企業診断士が1位に選ばれています。
では、なぜこれだけ世間から注目されている資格なのに『中小企業診断士の資格は役に立たない』という表現が目立つのでしょうか。
中小企業診断士が役に立たないと言われる3つの理由
中小企業診断士が役に立たないと言われている理由は以下にあげる3つです。
- 難易度の割に年収アップに繋がるケースが少ないから
- 独占業務がないから
- 資格維持にお金がかかるから
難易度の割に年収アップに繋がるケースが少ないから
中小企業診断士はいわゆる難関国家資格と呼ばれる資格のひとつです。
司法試験や公認会計士ほどの難易度ではありませんが、宅地建物取引士、行政書士、社会保険労務士より難しいと言われています。
僕自身もそうですが、難関資格をとったあかつきには、多くの人は『難しい資格を取得した=給料を上げてほしい&評価してほしい』と感じるはずです。
しかし、現実は悲しいかな、皆さんが思っているより評価してくれるところは少ないです。
年収 | 人数 | 構成比(%) |
昇給・昇格した | 112 | 6.1 |
資格手当が支給された | 241 | 13.1 |
資格が生かされる部署に配置された | 211 | 11.5 |
上司・同僚から良い評価を得た | 470 | 25.6 |
関係先から良い評価を得た | 448 | 24.4 |
勤務先,関係先の処遇に変化はなかった | 740 | 40.4 |
取得したことを伝えていなかった | 143 | 7.8 |
その他 | 110 | 6.0 |
出典:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」
上の表は勤務先や関係先からは中小企業診断士取得後にどう評価されたかをまとめた表です。
昇給・昇格や資格手当など実際に金銭面に繋がる結果を得られたのは、全体の2割未満でした。
取得までの難易度と取得後の変化のギャップが中小企業診断士が役に立たないと言われる原因のひとつです。
僕自身も取得後に給料は変わりませんでしたが、周りからの目は明らかに変わりました。体感としてはこれまでより自分自身の意見が通りやすくなったと感じてます。
独占業務がないから
中小企業診断士は、公認会計士や弁護士、税理士と違って独占業務がありません。
独占業務とは、資格を持っている人以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格を指します。
簡単に言うと資格を取ってしまえば、仕事がもらえる可能性が高くなるということ。
一方、中小企業診断士は資格を取っただけでは仕事にありつけるわけではありません。
これも中小企業診断士が役に立たないと言われる原因のひとつです。
しかし、独占業務ゆえの悩みもあります。
例えば、医師や公認会計士などは超難関資格なので数年単位での勉強が必要になります。
めでたく合格して、いざ医師や公認会計士として働いてみると『あれ、自分に向いてないな?』と思うこともありますが、専門性が強いゆえに他のキャリアへの方向転換が難しくなってしまいます。
しかし、中小企業診断士は独占業務がないゆえに、様々なことに挑戦できる資格でもあります。
資格維持にお金がかかるから
医師、弁護士、公認会計士、司法書士などは一度取得すると生涯有効な資格です。
一方、中小企業診断士には更新要件があり、要件を満たさないと中小企業診断士として名乗れなくなります。
中小企業診断士の有効期間は5年です。
更新にかかる費用は、企業内診断士の場合、おおよそ18万円ほどかかります。
中小企業診断士の取得までにかかる費用と取得後の維持費用はいくら?
中小企業診断士であり続けるにはハードルがありますが、ポジティブに考えると資格を保有しているだけのなんちゃって中小企業診断士は少ないという裏返しでもあります。
個人的には先述した資格にも更新要件が必要だと思っています。医療は年々進歩しているのに超高齢のお医者さんに診てもらうのは少し不安ですから。。
中小企業診断士は本当に役に立たないのか?
これまでに中小企業診断士は役に立たない理由を書いてきましたが、本当に中小企業診断士は役に立たないのでしょうか。
中小企業診断士はAIによる代替可能性が非常に低い
まずは、野村総研と英オックスフォード大との共同研究表を見てください。
2015年12月に日経新聞に掲載された「10~20年後にAIによって自動化できるであろう技術的な可能性」についての記事です。
行政書士や税理士を始め、他の難関資格でもAIによる代替可能性が約80%を超えている中、中小企業診断士はわずか0.2%とされています。
これから世の中にAIが増えていく中、これほどまでに代替可能性が低いというのは驚きです。
本当に役立たない資格ならばAIに簡単に乗っ取られてしまいますよね。
一生使えるビジネススキルが身につく
一次試験では、経営戦略、マーケティング、財務、法律、IT等のビジネスマンに必要な内容を幅広く学びます。
また、二次試験ではすべて記述式の試験であることから、『要約力』や『文章力』が鍛えられます。
中小企業診断士の試験勉強で身に付く知識はビジネスマンにとって不可欠なものばかりです。
資格取得後すぐに中小企業診断士として働かなくとも、必ず仕事の上でプラスになります。
自信がつく
中小企業診断士の試験は難関国家資格とも言われ合格率は5%前後です。
偏差値に換算すると67前後であり、大学入試で例えると東北大学や名古屋大学等の旧帝大並みの偏差値です。
中小企業診断士の受験生のほとんどは普段は企業に勤めながら、平日の朝や夜、または休日に勉強をしています。
忙しい日々の時間をマネジメントしながらこの難関国家資格に合格することができれば、『自分には高い能力がある』と大きな自信がつきます。
僕自身も中小企業診断士の試験を合格したことで大きな自信がつきました。これまで、上司と話をする場合は意見をなかなか言えませんでしたが、今は自信をもって対等に話せています。
これらの理由から、中小企業診断士は役に立たないというネガティブな意見より、将来性がありビジネスマンに必須なスキルも身に付くといったポジティブな意見のほうが大きく上回ります。
実は他の士業も役に立たないと言われている?
『中小企業診断士の資格は役に立たない』
という表現が目立ってしまいますが、他の資格でも役に立たないと言われていることは実は大いにあります。
気になる人は、
「〇〇〇(資格名) 役に立たない」
で検索してみると良いですよ。
他の資格でも同じですが、資格は取得して終わりではなく、そこからその資格をどうやって活かすかが重要になってきます。
まとめ:中小企業診断士はなくならない!
『中小企業診断士の資格は役に立たない』
『中小企業診断士はなくなる』
と記事の冒頭に書きましたが、心配しすぎることはなく、中小企業診断士は魅力的でとてもおすすめの資格です。
中小企業診断士に対してネガティブな表現もネット上で見かけることもありますが、それも大きく上回るメリットがあります。
年収を上げたい、独立したい、キャリアアップしたいと考えている人は、中小企業診断士をぜひ検討してみてください。
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